06. 子どもたちのIT交流拠点 芦田集学校

話を聞いた人:芦田集学校 校長 小寺啓基さん

2018年に国内大手の玩具メーカーが実施した「小中学生の遊びに関する意識調査」によると、学年齢別でのもっとも人気の高い遊びは、小学1・2年生は「おもちゃで遊ぶ(ごっこ遊び・ままごとを含む)」、小学3・4年生は「遊具遊びや鬼ごっこ・かくれんぼ」、小学5・6年生は「ゲーム(家庭用)」、中学生になると「スマートフォン・携帯電話・タブレット端末・パソコン」で、小学5・6年生のタイミングで遊びの中心が、「ゲーム」や「スマートフォン」にシフトしていることが分かりました。その後のコロナ禍で、小中学生のいずれの年齢においてもゲーム遊びの傾向が強まったことは想像に難くありません。また、2020年度から、ほとんどの小学校で、5・6年生からプログラミング言語を使った教育が始まり、ゲームやパソコンが子どもたちにとってより一層身近な存在になりました。そういった状況を活かし、ITを通して子どもとつながる「芦田集学校」の取り組みを紹介します。



廃校となった旧芦田小学校の校舎を活用した「芦田集学校」は、中古パソコンの販売や修理、ITなんでも相談、IT講座などIT周りの困りごとを解決する事業と、交流スペースの開放や、地域の企業や活動団体にスペースの貸出しなどをおこなうIT交流施設として2021年1月に開校しました。運営を担うリングロー株式会社(本社:東京都)は、IT機器を役立てて地域の暮らしを豊かにしたいという想いのもと、廃校でのIT交流を全国で15校展開し、芦田集学校は兵庫県内での第1校目にあたります。

芦田集学校のコンセプトは、「集う」「学ぶ」「プログラミング/教育」で、パソコンやスマートフォンに関する相談は、高齢の方が自治会などでつかう資料づくりにパソコンを使いたいけれどわからないといった場合のアドバイスや、パソコンゲームをするのに適しているハイスペックパソコンの提案など「ちょっと教えて欲しい」という身近なニーズに対応しています。また、プログラミングの講師として青垣小学校のクラブ活動に関わったり、地域の子供会でのプログラミング教室を開催したり、教育現場や地域からは、子どものIT学習をサポートする立場として頼りにされています。

校長の小寺啓基さんは、「教育に関わり始めたばかりなので手探りの状態。ですが、遊びの場でも学習の場でもITが浸透し始めている今、地域や教育現場とつながることで、自分たちの価値が見えるのではないか」と話し、教育事業への本格的な参画を目指しています。例えば、小学校など教育機関と連携して、プログラミング授業への企画提案や、ITリテラシー講座、また、コロナ禍以降、オンライン上で活動ができるIT系の部活が増える可能性を想定して部活の立上げ補助や活動支援、PTAや子供会などの企画運営など、既にいくつかのイメージが見えています。

一方で、芦田集学校で開催するプログラミング教室や、eスポーツ体験イベント、ARを利用した謎解きイベント、子どもや親子向けのワークショップなどにも力をいれていて、子どもたちが交流拠点に出入りするきっかけになっています。今後は、多くの子どもたちが一度は遊んだことのあるマインクラフトを使って、教育版マインクラフトのプログラミング教室の開催や、eスポーツをやりたいという子どもたちの要望に対して保護者の理解をサポートすること、eスポーツ選手を招いたオンラインでの体験交流など、子どもの興味関心をキャッチして、地方で普通に生活しているだけでは体験しにくいことを企画し実施できる存在になりたいと意気込んでいます。

芦田集学校
兵庫県丹波市青垣町田井縄371
0795-78-9956
ashida_shugakko@ringrow.co.jp
https://www.facebook.com/ashidashugakko/