08. 子ども・若者支援団体と元・学校教員がタッグを組んだフリースクール

話を聞いた人:FRSC(ふりすく)たんば スクール長 足立晃一郎さん

子どもの居場所づくりには、食事を提供する子ども食堂、学習支援の教室、遊びの場を提供するプレイパークなど様々な取り組みがあります。2021年9月に丹波市青垣町で始まった「FRSC(ふりすく)たんば(以下「FRSCたんば」と表記)は、子どもたちが安心して過ごせる居場所としてだけでなく、学習面をサポートすることを目的に、退職した元教員たちが運営に関わり、丹波市初のフリースクールとして活動しています。

「FRSCたんば」は、不登校やひきこもりなどの当事者や家族を支援する「NPO法人たんば子ども若者支援ネットワークえん(以下「NPO法人えん」と表記)」、不登校の子どもを持つ親たちが集まって作った自助グループ「氷上子育て親の会」、そして退職教員らで「フリースクール運営実行委員会」を立ち上げて運営しています。

スクール長の足立晃一郎さん。


氷上子育て親の会は1998年の設立以来、毎月の例会をはじめ学習会や相談会などを開催し長年にわたり不登校やひきこもりなどを支援しつづけてきた団体です。また、「NPO法人えん」は、子どもや若者の居場所 「TAMARIBA」 の開設、フリースクール「無量塾」の運営など、不登校・ひきこもり当事者に限らず、誰もが好きな時に来て、気楽に過ごせる居場所づくりを行ってきました。経験や知識、ネットワークのある2団体と、丹波市内の元小中学校や養護学校の教員たちがタッグを組むことで、それぞれの専門性を活かして子どもたちをサポートする点が「FRSCたんば」の特長です。さらに、活動拠点を置く「芦田集学校」は、廃校をリノベーションして、ITなんでも相談所や地域の交流スペース、レンタルスペースなど、様々な人が出入りする複合的な施設となっているため、イベントでのコラボレーションや人とのつながりなど、「FRSCたんば」の活動や交流に広がりが期待できます。

芦田集学校1階にある運営会社リングロー(株)の事務所フリースペースで「おしかけ誕生日」の開催。校内での交流を育む。


「FRSC たんば」の理念は「学習指導要領に縛られず、子どもたちの自主性を尊重する」こと。週4日開いていますが、出入りは自由で、子どもたちのやりたいことに合わせて、学習内容を決めて学んだり、スタッフや子どもたち同士で好きなことをして遊んだりしています。

退職教員を中心とした6名のスタッフと数名のボランティアスタッフで運営している。運営には補助金も活用。令和4年度は兵庫県交流促進パワーアップ事業の助成を受けている。


月・水・金曜日の午後は、学校の宿題などを支援する「スタディーサポート」と、学校の勉強内容に限らず好きな勉強や遊びをする「フリースタディ」を設けています。ひとりひとりが学びたいことに取り組み、遊びたければ遊ぶという自由なスタイルが特長です。土曜日は、理科実験・工作・音楽・調理実習などの「お楽しみ教室」や、山登りや遠足、ゲーム大会などのイベントを開催。イベントは、「FRSCたんば」に入会していない子どもでも利用できるようにしており、フリースクール内の仲間内の活動や交流だけでなく、地域の大人や子どもとの関わりをもてるように心がけています。

夏のキャンプでは、近隣の子どももテントを持ってきて参加。フリースクールの子どもだけでなく、他の子どもたちもまぜこぜで楽しむ点が「FRSCたんば」の特長。


開校して1年半ですが、開校直後から通い始めた子ども同士が友達になったり、小学生から高校生まで異年齢の子どもたちが勉強をしに来たりと、子どもたちにとって大切な居場所となっていることは間違いありません。

スクールに参加しているのは2023年1月現在8名。eゲームは毎月1回、子どもたちが一番楽しみにしているお楽しみ教室。


スクール長の足立晃一郎さんは、「コロナ禍の影響もあり、丹波市内でも学校に行っていない子どもたちが増えていると聞きます。「FRSCたんば」に来ている子もいれば、他のスクールなどに行っている子もいるだろうし、家庭教師に習っている子もいるかもしれない。けれど、多くの子どもは家にいる状況だと思います。その子たちに、一歩でも家の外に出てもらえるように、いろんな活動をしていきたい」と話し、学校以外で安心して過ごせる居場所づくりを目指しています。

FRSC(ふりすく)たんば
兵庫県丹波市青垣町田井縄371
芦田集学校内2F
090-2019-8743(足立晃一郎)または090-1674-3211(竹安惠)
tamba.en@gmail.com
instagram https://www.instagram.com/frsc.tamba/