07. 子どもと地域をつなぐ自然遊び活動 あおがきdeあそび隊
話を聞いた人:あおがきdeあそび隊 代表 橋本千英さん
子どもの外遊びについて、現在、小学生の子どもをもつ親の多くが、外で遊ぶ機会が減っていると感じているようです。コロナ禍の影響もありますが、それ以前から、動画サイトや携帯ゲーム等の室内遊びが充実したり、習い事で外遊びをする時間がなかったり、子どもが遊べる屋外空間が減ったりなど、さまざまな理由で外遊びが減少しているようです。むしろ、コロナ禍では、人が集まることは難しいものの、三密を避けているとして、外遊びが唯一、子どもたちが集まって遊べる機会という見方も生まれるほどです。そんなコロナ禍の真っただ中に、自然の中で遊ぶ活動を行う団体を立ち上げて、模索しながら、活動を続けてきた「あおがきdeあそび隊」の取り組みを紹介します。
「あおがきdeあそび隊」は、2020年、コロナ禍で子どもたちの生活が一変した時期に団体を立上げました。きっかけは、同じ丹波市内で子どもの自然遊び活動をおこなう先輩たちの姿に共感し、子どもたちを自然の中で遊ばせたいという気持ちが募ったからだそうですが、「コロナ禍で、あれもダメ・これもダメの状況が続くなか、唯一、やってもよさそうなのが外遊びだったことも、後押しになった」と代表の橋本千英さんは語ります。
先輩の活動というのが、春日町の「まきんこの森」と、「あそびの学校 大路こどもの森」で、とくに、2年ほどスタッフとして活動をともにしたあそびの学校では、地域の山を借り上げて整備をし、子どもたちが安心安全に自由に遊べるようにして、木の実や野イチゴなど食べられる野草を探して食べるなど、山での様々な体験を子どもたちに提供していたといいます。2つの団体の活動を通じて、自然遊びの良さを実感し、自身が暮らす青垣町で、あおがきdeあそび隊の活動を開始しました。
活動の理念は、“生活の延長線上にある自然で遊ぶこと”で、自然の草花の観察、沢登り、川遊び、山登り(軽登山)、草木染め、苔玉づくりなど、身近にある自然をうまく活用する遊びが中心です。自然の中での遊びをとおして、危険を察知する危機回避能力を身につけたり子どもの自主性を育んだりできるように心がけています。
つながりづくりも大切にしていて、とくに「子どもと子どものつながり」「子どもと親とのつながり」「子どもと自分の親以外の親とのつながり」「子どもと地域とのつながり」を意識しているといいます。少子化で地域に子どもが少ない現在、子ども同士、とくに異年齢の子ども同士の交流は難しいこともあります。青垣町の場合は、子どもの人数が減って4校あった小学校が1つに統合され、子どもたちの多くがバス通学になりました。そのため、これまで徒歩での通学途中に交わされた「おかえり」「ただいま」といった大人と子どものつながりも減ってしまっています。あおがきdeあそび隊のような活動は、異年齢の子どもたちをはじめ、親同士や、子どもと大人、子どもと地域の交流をつくる貴重な存在です。
参加対象は0歳~小学校6年生までの子どもとその親たち。コロナ禍では状況をみながらの活動で、オープンに広報をするのも難しく回覧板や各戸配布など小さな告知に留めざるをえないことや、開催の中止や延期などもありましたが、毎回5家族程度が参加して、遊びながら交流を深めてきました。
活動を始めて2年がたち、スタッフの確保や企画内容のマンネリ化、地域に根付いた活動になるための広報など直近の課題がいくつかある一方で、5年後に向けて大きな計画をもっています。それは、地域の森を整備して、そこを活動拠点にすることです。「人の手が入らない森は、草木の下に何かがいても分からなくて危険ですが、土が見えるように整備すると、生き物が見えて、子どもたち自身でちゃんと見分ける(危機回避能力)力を育むことができるのです」と、森の整備の大切さを指摘します。
あそびの学校での先輩たちの活動に共感してうまれたあおがきdeあそび隊は、その後につづく存在として進み続けています。
あおがきdeあそび隊
aogaki.de.asobitai2020@gamil.com
https://www.facebook.com/aogakideasobitai/